10月
「このチームでおふたりにとって最幸の結婚式を創りましょう」
プランナーさんがとても自然にこう言ってくれました。
ビデオマンも「チーム」の一員だからこそ、わたしたちは撮影を始める前に必ず担当プランナーさんと打合せを行います。
おふたりの事、進行の中でなにを楽しみにしているのか、ご家族はどんな人なのか…
その日も、おふたりにまつわる様々な情報をそのプランナーさんは、とても楽しそうに伝えてくれました。
そして撮影スタート。
挙式、披露宴が滞りなく進んでいきます。
進行は順調に進み、ケーキ入刀・お色直し入場などのおふたりが楽しみにしていたイベントも盛り上がり、 エンドロールも無事に放映終了しました。その日はゲストの涙も多くあり、とてもいい結婚式になりました。
しかし、
事務所へ挨拶に伺うと、担当プランナーさんが先輩プランナーと深刻そうな顔で話をしています。
担当プランナーさんは、涙をこらえている様に見えました。
先輩も、涙をこらえている担当プランナーさんに怒っている訳でもなく、励ましている訳でもなく、ただただ話を聞いていました。
進行の間違いや、演出の失敗などもなく、とてもいい結婚式だと感じたのに…
数日後、その担当プランナーの方とお話しする機会があったので、失礼かと思いましたがあの時のことを聞いてみました。
すると快く話して頂けました。
「本当に大好きなおふたりで、結婚式が終わった後におふたりから感謝の気持ちを言って頂いたのですが、私は悔しくて、悲しくて…。」
「そのおふたりは、結婚式場を決める時、他の結婚式場とすごく迷われていて、たくさん迷った結果うちに決めて頂いたんです。
半年前から打合せが始まって、最初の内はまだ他の結婚式場の事が気になっていた様子でした。
おふたりにどうやって悔いのない1日を過ごしてもらえるか、プレッシャーや不安もありました。
でも約3か月前での打合せの時におふたりは私に言ってくれました。」
「担当プランナーが〇〇さんだからこの会場に決めたんです。」
「聞いた途端、うれしくて涙が出ました。そして絶対にいい結婚式、おふたりにとって幸せな時間にすると決めました。」
当日はとても良い結婚式で、おふたりはとても幸せそうだったからこそ、私は不思議でした。
なぜ悔しくて悲しかったんですか。と私は尋ねました。
するとプランナーさんは真剣な表情で続けます。
「本当に【チーム】で結婚式を創れたかということを考えていたんです。
わたしは担当プランナーなのに、100%おふたりの事を考えて、行動できてなかったんじゃないか、
ひとりで抱え込まず【チーム】の力ももっと借りるべきだったんじゃないかと…。だから悔しくて。
打ち合わせの時に決めた事やおふたりが望んだ演出などは実行できたかもしれないけど、もっと良い結婚式に、もっともっとできた気がして、あの日はとても悔しく思ってしまったんです。」
そして笑顔になり、こう言ってくれました。
「何より、大好きなおふたりの結婚式が終わってしまったのが寂しくて、それでいろいろな感情が溢れてしまったんだと思います。」
プランナーの方は入社3年目の方で、私と同年代でした。
「プランナーさんのこれほど大きな想いに向き合えているか」
おふたりの想いを映し出すことはもちろん、当日のチームの一員として、
常に自分に問いかけるきっかけになりました。
一生に一度の結婚式。
常にプレッシャーと戦い「絶対にいい結婚式にする」という担当プランナーさんの想い。
最高のおもてなしをしようと集うサービススタッフさん。
おふたりの気持ちをゲストに届けるキッチンスタッフさん。
一番輝く日を最高の身なりにしようと努めるメイクさん。
おふたりにとって最高の記憶をのこそうと励むカメラマンやビデオマン。
そしておふたりの結婚式に対する期待。
すべての人が、色々な想いに応え、【チーム】として連携すること。
「良い結婚式だったからいいや」ではなく、振り返り、常に自分自身に問いかけること。
私も、その時その時を大切にしていこうと改めて思いました。