10月
しばらく前にこんなことがあった。
自宅のエアコンの吹き出し口のルーバーを左右に調整しようと触っていたら「バチン」といって指を挟んで怪我をしてしまった。
「イタッ!」
人差し指が内出血し、紫色になっている。
危険なほど指を入れている訳ではないのにこんなに簡単に怪我をしてしまうような造りはそもそもいかがなものかと腹立たしくも思った。
ファンの羽根が折れ、エアコンがバタバタと音をたて振動している。
いずれにしても修理をしないといけないのでメーカーのカスタマーセンターに電話をした。
内容を伝えたところ「大変申し訳ございません。お怪我は大丈夫でしたか?」というまずはお詫び、そして相手を気遣うという申し分のない対応であった。
会話を続けるなかで何度も「お怪我の方は?」というやり取りがあった。
そしてマニュアル通りではなく、声のトーンが本当に「大丈夫ですか?ご迷惑かけました」という感情が伝わってくるような応対をしてくれた。
この電話によって「少しはメーカーにも問題があるんじゃないの?」という気持ちが少なからずあった自分が恥ずかしくなりつつ、修理代金は発生したが、一件落着して気分はすっきりしたのであった。
電話対応はたった一本の電話でその企業に対するイメージが悪くなったり、ファンになったり、そして自分の気持ちも穏やかに解決できるほどの重要なものだ。
大きな会社ならオペレーターやお客様窓口があるが、ムーブでは誰もが電話をとるし、全員が対応できなければならない。慣れない新入社員が対応すれば要領が悪くお叱りを受ける事もある。
少しでも早くスキルアップするために外部講師も招いてのロールプレイングも行っている。
しかし本質が分かっていない状態での上辺だけのロープレで研修を積んでも60点くらいにしかならないだろう。淡々とした口調で「申し訳ございません。お怪我はございませんでしたか?」とマニュアル通りの言葉を言われても気持ちは伝わらない。
相手が見えない電話だからこそ本気で気持ちを伝えなければならない。
講義の中には目からうろこが落ちる教えがたくさんある。
なぜ新郎新婦様が式場プランナーではなくムーブに直接問合せをしてくるのか?
「締め切りは大丈夫ですか?」「どの程度の修正ができますか?」「料金は発生しますか?」様々な問い合わせが来るのは、初めて自分達が主催する結婚式でゲストを招き成功させなければと不安がいっぱいだから。
その真意を置き去りにして事務的な対応しかできなければお客様はがっかりし、最高の気持ちで結婚式当日を迎えられない。
結婚式は一生に一度しかない大切なイベントだ。
そこに関わっている私たちの仕事は、日常的に利用するコンビニや飲食店さんとは違う。
初めてのこと続きの結婚準備で不安になっている新郎新婦の気持ちに寄り添って当日までの安心をお届けしなければならない。
当日までは安心を、結婚式当日は感動をお届けする。これがムーブの使命だ。
顔の見えない相手だからこそ「笑声」で!